料理ができる女性は多いのに、プロである料理人には女性が少ないのはなんでだろう?
一般的に ”料理をする人” といえば、お母さん(女性)の印象が強いのに、”プロの料理人” といえば男性をイメージしてしまいます。
イメージの通り、実際にほとんどの飲食店をみてみると、厨房の調理スタッフは男性ばかりです。
最近ではInstagramなどのSNSの普及により、プロ顔負けの料理を作るママさんが続出しているのに、プロの世界では女性料理人が少ないのには明確な理由があります。
この記事では、料理人歴8年の僕(@ireiblog)が現場でわかった、プロの世界に女性料理人が少ない理由を紹介します。
料理人を目指す女性はもちろん、男性料理人にも知ってて欲しい内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
プロの女性料理人が少ない6つの理由
- 体力的にキツい。
- 味覚が変化する。
- 基礎体温が高い。
- キャリア設計が難しい。
- 家族の優先順位が高い。
- 調理師学校の目的が違う。
料理上手な女性はたくさんいるのに、プロの料理人に女性が少ないです。
実際の現場をみてわかった6つの理由を紹介します。
女性料理人が少ない理由① 体力的にキツい
飲食店に女性料理人が少ない理由は、体力的にキツいから。
一般的な料理人の仕事は、朝早くから夜遅くまでの体力仕事になりがちなので、男性よりも体力の弱い女性にはかなり厳しいです。
たとえば、朝は市場から食材を仕入れてランチの仕込みをして、ランチ営業をしながらディナーの仕込みをします。
ディナーの営業が終わっても翌日の仕込みや片付けがあるので、1日のほとんどが立ち仕事です。
男性にとってもキツいので、女性にとってはかなりキツい仕事です。
女性料理人が少ない理由② 味覚が変化する
女性料理人が少ない理由は、味覚が変化しやすいからです。
女性は、月経や妊娠・出産によりホルモンバランスが乱れると、味覚が変わります。
せっかく調理のスキルを磨いても、味覚が変われば安定した料理を提供し続けることが困難です。
とはいえ、ホルモンバランスによる味覚への影響には個人差があるので、味覚への影響が少ない女性もいます。
ちなみに女性は、味を感じる器官である味蕾(みらい)が多いので、基本的な味覚では男性よりも優れています。
女性料理人が少ない理由③ 基礎体温が高い
女性は男性に比べて基礎体温が高いので、料理人になる人が少ないです。
なぜなら体温が高いと、料理や食材の良さを壊してしまうから。
たとえば、刺身を触る手の温度が高いと、急激に鮮度が落ちてしまうので素材が良さがなくなります。
このように、女性は男性よりも体温が高いので、料理人になる人が少ないのです。
ちなみに、ひと昔前の飲食店では、体温が高いという理由で女性を採用しない飲食店がたくさんありました。
最近では男女平等になりつつありますが、いまだに女性料理人の雇用に消極的な飲食店は残っていますね。
女性料理人が少ない理由④ キャリア設計が難しい
女性料理人はキャリア設計が難しいです。
なぜなら、たくさんの経験を積んだ働き盛りの20代後半〜30代になると、結婚や出産で仕事を離れてしまうから。
産休や育休から復帰しても、休んでいる期間に現場の環境は変わっていることが多いので、適応するのも難しいでしょう。
また、子どもが小さいうちは仕事を休む機会が増えてしまうので、重要な仕事を任せてもらえる機会はほとんどありません。
若いときに頑張っていても、キャリア設計が難しいため、料理人を目指す女性は少ないです。
女性料理人が少ない理由⑤ 家族の優先順位が高い
女性料理人が少ない理由として多いのが、家族の優先順位が高いからです。
男性は結婚しても仕事に集中しやすいですが、女性は家族ができると仕事への優先順位が変わります。
当たり前ですが、お母さんになると更に子ども優先になるので、長時間のキツい料理人を続けるのは困難です。
結婚後も仕事に集中するためには、旦那さんと相談し、理解と協力をしてもらう必要がありますね。
女性料理人が少ない理由⑥ 調理師学校の目的が違う
女性料理人は少ないのに、調理師学校には女性生徒の割合が多いのは不思議ですよね。
実は、調理師学校に通う女性生徒の多くは、プロになることが目的ではありません。
「将来的な家庭料理のスキルを高めたい」や「単純に料理が好きだから」という、仕事以外の目的で通っています。
また、入学当初はプロを目指していたのに、授業を受けていくなかで進路を変更する女性生徒も多いです。
もちろん、プロを目指している女性生徒もいますが、飲食店に就職しても、職場環境に挫折して、すぐに退職してしまう人がたくさんいます。
女性料理人が活躍するために必要なこと
- 女性の感性を活かす。
- 周りの理解とサポート。
- 働き方を多様化させる。
女性がプロの料理人として活躍するために必要なことを紹介します。
女性はもちろん、男性料理人や飲食店全体として知って欲しい内容です。
女性の感性を活かす
- 食べる人への思いやり。
- 料理で表現する彩り。
- 繊細な盛り付け。
女性料理人が活躍するためには、女性の優れた感性を活かすことが大事です。
なぜなら女性料理人には、男性料理人よりも優れた感性がたくさんあるから。
たとえば、男性料理人はスキルを追求するあまり、自己表現に向かいがちですが、女性は常に食べる人への気遣いをしています(お母さんの料理をイメージするとわかりやすい)。
もちろん男性料理人もお客様への気遣いをしていますが、女性は細かな部分にまで自然に気を配ることができます。
また、一皿で表現する綺麗な彩りと盛り付けは、女性特有の美へのセンスです。
女性料理人の強みを活かすことで、飲食店の料理のクオリティーも上がります。
男性に劣っているから女性料理人が少ないということではありません。
周りの理解とサポート
女性料理人が活躍するためには、周りの理解とサポートは欠かせません。
その証拠に、世界的な賞を受賞している女性料理人は、「家族や職場の協力があったから受賞できた」とスピーチをしています。
たとえば体調が悪いときの同僚のフォローや、子ども産まれたあとの家族のサポートです。
社会人である以上、自身の体調管理は欠かせませんが、女性には自分だけでは解決できない問題があるので、周りの理解とサポートが必要です。
働き方の多様性が必要
女性が料理人として活躍するためにもっとも求められるのが、働き方の多様性です。
出産前後や育児中の女性は、社会に復帰するだけでも大変なので、飲食業界全体として多様な働き方が認められる必要があります。
たとえば、長期休暇から復職後にも、活躍できるポジションを用意したり、1人の料理人として正当に評価されるべきです。
飲食業界の抱える問題のせいで、実力のある女性料理人が苦しい想いをするのは納得できません。
他の業界では、復職できる環境の改善が進んでいますが、料理人の世界ではまだまだ厳しいので、早急な改善が求められます。
女性料理人をサポートできる体制が必要!
- 体力仕事が厳しい。
- 長期休暇や味覚の変化がある。
- 周りのサポートと理解が足りない。
この記事では、女性料理人が少ない理由と、女性料理人がプロとして活躍するために必要なことを紹介しました。
結論として、現状ではまだまだ女性料理人に対するサポートが弱いことが原因です。
男性料理人と比較すると、圧倒的に難しい立場ですが、女性料理人ならではの強みもたくさんあります。
実際に僕が働いていた沖縄県の観光居酒屋では、女性が料理長を勤めていました。
仕事面でみても、男性料理人よりも優れている女性料理人は多いので、しっかりと評価されて欲しいです。
飲食店業界を盛り上げるためにも、このまま女性料理人を冷遇するのではなく、サポート体制を強化していく必要がありますね。