料理人になりたいけど、調理師学校に行かないとダメかな?
このような疑問にお答えします。
調理師学校に行かないと料理人になれないと思っている人は多いです。しかし調理師学校に行かなくても料理人になれます。
実際に現場をみてみると、調理師学校を卒業していない料理人がたくさんいます。料理長クラスでも中卒や高卒も珍しくないです。
とはいえ調理師学校は人気なので「行く意味がない」と言われてもピンとこないでしょう。
この記事では、料理人になるために調理師学校にいく意味がない理由を7つ紹介します。記事を読めば、あなたが調理師学校に行くべきか・無駄なのかが判断できます。
僕自身は高卒でホテル料理人として修行を始めました。調理師学校へは行っていませんが、先輩や後輩料理人たちの意見を参考にして記事をまとめています。
前提:調理師学校とは?
- 調理師を育成する教育機関
- 調理師学校へ入学する方法
- 調理師学校で学べること
前提として、調理師学校がどんな機関であるかを紹介します。
調理師学校の役割
上記は「全国調理師養成施設協会」のホームページより引用した文章です。
調理師学校は「調理師」を育成する機関です。
「料理人」のための育成機関ではありません。調理師学校に行かなくても料理人になれます。
僕は調理師学校に行っていないけど調理師免許を持っています。
調理師学校へ入学する方法
調理師学校へ入学する方法は3つあります。中学校の卒業資格があり、いずれかに合格すると入学が可能です。
- 一般入試
- 推薦入学
- AO入学
大学入試のような学力試験を行う調理師学校は少ないです。ほとんどの調理師学校では、「書類選考」「面接」「作文」で合否を判定しています。
推薦入学とAO入学が合格率が高いです。調理師学校への入学を希望しているなら、いずれかを選択するとよいでしょう。
調理師学校が開催しているオープンキャンパスに参加をすると、学校側に好印象を与えます。オープンキャンパス参加者の入学率は高いようです。
調理師になるための教育機関なので、国語や数学などの知識は重要視されません。
調理師学校で学べること
調理師学校へ行くと、下記の3つを学べます。1年制と2年制で学びの幅と深さが異なります。
- 調理の知識と技術
- 衛生面の知識と対応
- 栄養面の知識と実践
いずれも調理師として欠かせない知識と技術です。
栄養学や調理理論、食品衛生管理と衛生法規は座学で学びます。調理の技術や食材の扱い方、食事のマナーは実習で学べます。
調理師として最低限のスキルが身につくのが特徴です。カリキュラム修了の証明として、卒業時に調理師免許を交付されます。
調理師学校に行く意味がないと言われる7つの理由
- 調理師学校は学費が高い
- 調理師学校は時間がかかる
- 調理師学校は講義の進行が遅い
- 調理師学校の友人との付き合いは続かない
- 調理師学校に行かなくても調理師になれる
- 調理師学校を卒業しても即戦力にはならない
- 調理師学校を卒業してもプロにならない人が多い
調理師学校に行く意味がないと言われる理由は7つです。それぞれを詳しく紹介します。
調理師学校に行く意味がない理由① 学費が高い
調理師学校は費用対効果(コスパ)が悪いと言われています。学費に対して得られることが少ないからです。
学費の相場 | |
---|---|
1年制 | 130万円〜200万円 |
2年制 | 250万円〜400万円 |
夜間 | 100万円〜150万円 |
上記の表は、全国の調理師学校の学費の相場を調査した結果です。安くても100万円以上、高いと400万円もかかります。
調理師学校の所在地やカリキュラムによって学費は異なります。ちなみに飲食業界で有名な辻調理師専門学校の1年制の学費は、217万円+諸経費11万円です。
大学に比べると学費が安いと感じるかも知れませんが、調理師学校は学歴としては評価されません。
現場で修行する1年 | 調理師学校で学ぶ1年 |
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現場で実践経験を積める 給料をもらえる(192万円〜) | 勉強として知識が増える 学費を支払う(100万円〜400万円) |
基礎を学ぶために高い学費を支払うのか、実践経験を積みながら給料をもらうのかで、1年間の経験値に差がつきます。
奨学金を使って調理師学校にいくのはおすすめできません。料理人の給料は高額とはいえないので、卒業後に返済するのは想像以上に大変です。
調理の基本的な知識と技術を学ぶために高額な学費を支払うのはおすすめできません。
調理師学校に行く意味がない理由② 時間がかかる
調理師学校に行くと、卒業までに時間がかかります。学校や学科によって異なりますが、卒業までに1年〜2年は必要です。
1年から2年かけて卒業しても、飲食店で勤務するときは新人や見習いとしてスタートです。
高卒で見習いとして働き始める人も多いので、同い年や年下の先輩がいても珍しくありません。
料理人は実力で評価されます。1年〜2年間しっかり経験を積んだ料理人との業務能力の差は大きいです。
調理師学校に行く意味がない理由③ 講義の進行が遅い
すでにある程度の技術や知識があるなら、調理師学校にいく意味はありません。講義のスピードが遅いからです。
学校なので講義のスピードはクラス全体で合わせなければいけません。すでに知っていることを授業で学んでいる時間はもったいないです。
調理師学校は、調理の知識や経験がない生徒を教育する機関です。生徒間にレベル差があっても、年間のカリキュラムがあらかじめ決まっています。
クラスの平均に合わせて講義が進行されるので、本気で取り組んでいる人にとっては物足りないでしょう。同じ1年でも現場で修行している料理人には敵わないです。
調理師学校に行く意味がない理由④ 友人関係は続かない
調理師学校に行けば、「同じ志をもった一生の友達に出会える!」と期待してる人も多いですが、実際の友人関係はそれほど続きません。調理師学校卒業後の進路はバラバラだからです。
- 県内の飲食店へ就職
- 県外の飲食店へ就職
- 異業種へ就職
料理人になると毎日の仕事に追われます。学生時代の友人と交流を続けている人は少ないです。
調理師学校は全国から生徒が集まります。進路は全国に広がるため、なかなか関係を保つのは難しいです。
学生時代の友人とスケジュールを合わせるのは困難です。同僚や先輩など、身近な人との交流が増えていきます。
調理師学校に行く意味がない理由⑤ 独学で調理師になれる
調理師免許は学校に行かなくても取得できます。調理師免許を取ることが目的なら、調理師学校に行く意味はありません。
下記をクリアしていれば、調理師試験を受けられます。試験に合格したら調理師免許を交付されます。
- 中学卒業の学歴
- 2年以上の実務経験
受験の条件はシンプルで、クリアするのも簡単です。試験の難易度も低いので、働きながら独学をして調理師になれます。
下記の記事では、僕自身の体験談を交えて「これさえあれば合格できる!」おすすめの参考書も紹介しています。受験を検討しているならチェックしてください。
調理師学校に行く意味がない理由⑥ 即戦力にならない
調理師学校を卒業しても、現場の即戦力にはなれません。調理師免許をもっていても新人として扱われるからです。
チェーン店なら新卒の調理師は優遇されるかもしれません。しかし、せっかく調理師になったのにチェーン店で勤務したい人はいないでしょう。
通常の飲食店なら、新人にいきなり大事な仕事は任せられません。雑用や先輩料理人のサポートがおもな仕事です。
雑用やサポートをしながら、仕事をみて覚えていきます。
同期のなかで優位な立場なら仕事を任せられやすいです。同期のなかで信頼を得やすい順番は下記のとおり。
- 業務経験のある調理師
- 業界経験のある無資格
- 業界未経年の調理師
- 業界未経験の無資格
調理師学校を卒業して入社すると③に当てまはります。在学中に飲食店アルバイトの経験があれば、アピールするとよいでしょう。
経験がなければ、コツコツ信頼を得るしかありません。
調理師学校に行く意味がない理由⑦ プロにならない人が多い
調理師学校を卒業しても、料理人になるとは限りません。食品メーカーのような関連業界どころか、まったく関連のない職業へ就く人が多いです。
卒業者へのアンケート結果で、料理人にならない理由はおもに下記の3つです。
- 授業を受けて挫折した
- 他にやりたいことが見つかった
- もともと料理人になるつもりがない
クラスメイトとの実力差を体感したり、現場を知るうちに挫折する人はたくさんいます。もともと料理人になるつもりがないのに、花嫁修行の感覚で入学する生徒もいます。
また、料理人になっても3年以内に退職する人は多いです。学校では優等生でも、現場で求められるスキルとのギャップで挫折するようです。
数年後にプロの料理人でいる卒業生は少ないので、わざわざ調理師学校に行く意味はないです。
調理師学校に行く意味がある人とは?
- 基本をじっくり教えて欲しい
- 趣味や家庭料理に活かしたい
調理師学校に行く意味はないですが、なかには行った方が良い人もいます。
そこで、調理師学校に行く意味がある人の特徴を紹介します。あなたが当てはまっているかチェックしてください。
調理師学校に行く意味がある人① じっくり教えて欲しい
調理の基本をじっくり教えて欲しい人は、調理師学校に行く意味があります。授業として講師が丁寧に教えてくれるからです。
講師は教えるプロです。一人ひとりにあわせた教え方を熟知しています。
下記に当てはまるなら、調理師学校に行くのを検討してもよいでしょう。
- 学費と時間がかかってもいい
- 人より物覚えが悪くて不器用
- すぐに現場で働くのが不安で仕方ない
就職すると、じっくり教えてくれる飲食店は少ないです。誰でも不安はありますが、どうしても未経験で就職するのが不安なら、資格を取って自信をつけてください。
調理師学校に行く意味がある人② 趣味に活かしたい
趣味や家庭料理に活かしたい人は、調理師学校に行く意味があります。調理師学校で身につく知識と技術が最大限に活かせるからです。
実際に調理師学校を卒業しても料理人の道には進まず、素敵な家庭料理をふるまっている主婦はたくさんいます。
とはいえ、趣味や家庭料理を学ぶことが目的なら、料理教室の方がコスパがよいです。飲食店で勤務するのが嫌で、「調理師」という資格が欲しいなら調理師学校に行くとよいでしょう。
調理師学校で基本をしっかり身につければ、家族に喜ばれる料理が作れます。
調理師学校に行かなくて良かった経験談
- 調理師学校卒と高卒で同じ仕事
- 調理師学校で学費を払うより稼いだ方が良い
- 調理師免許を持っていても現場では使えない
僕の実体験として、調理学校に行かなくて良かったと感じた経験談を3つ紹介します。
調理師学校卒より無免の先輩が優遇される
高校卒業後すぐに見習い料理人としてホテルに就職しました。当時は調理師免許を持っていません。
2年目には調理師学校を卒業した後輩ができましたが、業務では僕の方が仕事をこなせていました。実務経験のある先輩の方が優遇されるからです(言い方はちょっと悪いかも・・・)。
現場では調理師免許の有無よりも、どれだけ仕事ができるかが重要です。
調理師学校の学費を払うより稼いだ方が良い
調理師学校に通うには100万円〜400万円ほどの学費が必要です。その期間に現場で働けば給料がもらえます。
見習い料理人として安月給でも16万円ほどはあります。1年間で約200万円の収入です。
高額な学費を支払って学ぶのか、216万円の給料を貰いながら学ぶのかは、大きな違いになります。
奨学金を使ったことで、卒業後の返済に苦労している料理人も多いです。ただでさえ見習い料理人は給料が低いので、返済しなければいけないのは大変でしょう。
調理師免許を持っていても現場では使えない
調理師学校で基本を身につけても、現場ではなかなか活かせません。現場で求められるスキルとは異なるからです。
飲食店は企業や店舗ごとに方針が異なります。基本的な知識や技術ではなく、その飲食店の業務にあわせたスキルが重要です。
勤務年数が重視されるのは、その飲食店の業務にあわせたスキルが積み上げられるからです。
たとえば、調理師学校で大根の桂むきを身につけても、就職先で使わなければ活かす機会がありません。機械や器具で大根のケンを作ったり、そもそもメニューで使わない飲食店も多いです。
もちろん、基本的な包丁技術を身につけることは重要ですが、現場の仕事をしながら身につけた方が実用的です。
料理人になるために調理師学校に行くのは意味がない
- 調理師学校に行かなくても調理師になれる
- 学校の1年より現場の1年の価値が高い
- 調理師学校ならではの魅力が少ない
この記事では、料理人になるために調理師学校に行く意味がない7つの理由を紹介しました。結論として、調理師学校に行くより現場で修行した方がメリットが大きいです。
料理人になりたいなら、学費を払って基本を学ぶより、給料を貰いながら実用的な仕事を学んだ方がかしこいです。
実際の現場でも調理師学校卒だからといって、特別扱いされることはありません。
料理人として活躍したいなら、調理師学校に行かずに早く働きましょう。いきなり就職するのが不安なら、バイトから始めるのもアリです。
実務経験とスキルがあれば、転職して給料をあげることも可能です。料理人に特化した転職エージェントも無料で使えるので、安心して転職活動ができます。
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