寿司屋の見習いになったけど、先輩たちの話す隠語が多くて何のことかわからないな。
用語集としてまとめて知りたいな。
寿司屋の見習いとして働くと、従業員同士で使われる隠語が気になることがあるでしょう。
お客様なら隠語の意味を知る必要はありませんが、見習いとして働いているなら、1日も早く覚える必要があります。
隠語を使う理由は、仕事上のメリットが多いからです。
この記事では、寿司屋が隠語を使う理由と、よく使われる隠語をまとめて紹介します。
ぜひ参考にしてください。
僕が寿司屋の現場で実際に使っていた隠語を紹介します。
寿司屋が隠語を使う理由とは?
- 情報伝達が早い。
- 寿司業界では共通の用語。
- お客様に伝えたくない情報がある。
寿司屋が隠語を使う理由を3つ紹介します。
寿司屋が隠語を使う理由① 情報伝達が早い
寿司屋が隠語を使う理由は、従業員同士の情報伝達が早くなるからです。
たとえば有名な隠語である「ガリ」の場合は、「甘酢生姜を出して」と指示をするより「ガリ出して」の方が情報がすぐに伝わります。
寿司屋は従業員同士で指示を共有することが多いので、少しでも情報伝達を早くしたいのです。
寿司屋が隠語を使う理由② 寿司業界の共通用語
寿司屋が使う隠語は、その店舗だけでなく業界全体で共通しています。
そのため、別の寿司屋へ異動や転職をしたときでも、1から用語を覚える必要がありません。
隠語を覚えてしまえば、どの寿司屋でも使えるので便利です。
寿司屋が隠語を使う理由③ お客様に伝えたくない情報がある
寿司屋が隠語を使う1番の理由は、お客様に伝えたくない情報があるからです。
たとえば「アニキから出して」と指示を出した場合、この「アニキ」という隠語には、「古いネタ」という意味があります。
お客様に「古いネタから出して」と聞かれると印象が悪いですが、「アニキから出して」と隠語を聞かれても意味が伝わらなければ安心です。
このように、お客様に知られたくないことでも、隠語なら指示出しができます。
寿司屋で使われる隠語(用語)まとめ
- 寿司ネタを意味する隠語
- 寿司ネタ以外の隠語
- 寿司屋でよく使われる隠語
- 数を意味する寿司屋の隠語
寿司屋で使われる隠語を紹介します。
寿司ネタを意味する隠語
かっぱ | キュウリの細巻。カッパの好物から。 |
鉄火(てっか) | マグロの細巻。鉄火場(賭博場)でよく食べられいたから。 |
玉(ぎょく) | 玉子のこと。「玉」の音読み。 |
稲荷寿司 | 煮上げた油揚げに酢飯を詰めたもの。 |
ガレージ | シャコのこと。「車庫」からのダジャレ。 |
げそ | イカの下足。 |
寿司ネタを意味する隠語もあります。
日常生活にも浸透している「かっぱ」や「鉄火」も、もともとは寿司屋の隠語です。
なかには「ガレージ」のようにダジャレから生まれた隠語もあるので面白みがあります。
寿司ネタ以外の隠語
シャリ | すし飯。舎利と書くことから、お釈迦様の遺骨が真っ白で、ありがたいという意味を持つ仏教用語。 |
でばな | 食事の最初に出されるお茶。 |
あがり | 食事の最後に出されるお茶。 |
ガリ | 甘酢生姜。食べたときの「ガリガリ」という音から。 |
キヅ | かんぴょうのこと。京都の木津が有名な産地だから。 |
クサ | 海苔のこと。昔は浅草で取れていたから。 |
軍艦 | シャリを海苔で巻いてネタを載せた寿司。 |
サビ or ナミダ | わさびのこと。 |
サビ抜き | わさび抜きのこと。 |
ヅケ | 醤油に漬け込んだネタ。 |
ムラサキ | 醤油のこと。色が濃い紫色をしているため。 |
寿司ネタ以外にも、隠語は多いです。
なかでもお茶は提供するタイミングで呼び名が異なります。
よく使われる寿司屋の隠語
貫(かん) | 寿司の単位。1貫=寿司2つ |
おあいそ | お会計のこと。 |
エンソ | 従業員のまかない。塩は塩漬け(漬物)、噌は味噌汁の意味。 |
おまかせ | 寿司職人に適当に握ってもらうこと。 |
おこのみ | お客様の好きな寿司を注文すること。 |
アニキ | 古いネタのこと。反対に新しいネタは「オトウト」と呼ぶ。 |
オトウト | 新しいネタのこと。反対に古いネタは「アニキ」と呼ぶ。 |
ゲタ | 寿司を乗せる板。下駄にいているから。 |
つけ場 | 寿司を作る調理場。 |
ヤマ | 在庫がないこと。寿司ネタは山にはないから。 |
よく使われる隠語もたくさんあります。
最近では寿司屋以外でも、食材の仕入れ時期を表す「アニキ」と「オトウト」を使う飲食店も多いです。
ちなみに「アニキ」と「オトウト」は仕入れ時期を明確にするために使っています。
「アニキ」であっても鮮度に問題はないので安心してください。
数を意味する寿司屋の隠語(読み)
1 | ピン |
2 | リャン |
3 | ゲタ |
4 | ダリ |
5 | メノジ |
6 | ロンジ |
7 | セイナン |
8 | バンド |
9 | キワ |
10 | ピンマル |
11 | ピンピン(ナラビ) |
12 | チョンブリ |
13 | ソクキリ |
14 | ソクダリ |
15 | ソクメ |
16 | ソクロン |
17 | ソクセイ |
18 | ソクバン |
19 | ソクキワ |
20 | リャン |
寿司屋で使われる数字にも、隠語があります。
お会計の際には板前から会計係のスタッフに、この隠語を組み合わせて金額を伝えます。
たとえば、3,800円なら「ゲタバン」、9,900円なら「キワナラビ」です。
寿司屋の隠語は従業員同士の用語
寿司屋で使われる隠語は、従業員同士で使うための用語です。
そのため、お客様の立場で隠語を使うのは間違っています。
なかには通(ツウ)ぶって隠語を調べているお客様もいますが、寿司屋でお客様が隠語を使っても、良い目では見られません。
たとえば「おあいそ」という隠語の場合、「代金をいただくなんて、愛想がなくて申し訳ございません」とお客様にお会計を切り出す際に使用する言葉ですが、お客様が使うと不自然ですよね。
知ったかぶりをしたお客様がお会計の際に「おあいそお願いします」というと、寿司屋の従業員たちには、不思議な目で見られるでしょう。
場合によっては「愛想が尽きたため、もう来たくないです」という意味に解釈される可能性もあります。
寿司屋の隠語をお客様の立場で使うのはやめてください。
寿司屋で働くなら隠語は覚えよう!
- 情報伝達が早い。
- お客様が使うのは不適切。
- お客様に伝えたくない情報がある。
この記事では、寿司屋の現場で使われている隠語について紹介しました。
隠語とは、寿司屋の授業員同士がスムーズに意思を伝達するために使う用語です。
従業員としては覚えなければいけませんが、お客様が隠語を使ってはいけません。
ちなみに寿司屋以外でも、「アニキ」や「オトウト」、「ヤマ」という隠語を使う飲食店は多いです。
寿司屋で働いていなくても、見習い料理人として覚えて損はないので、チェックしておきましょう。