先輩からパワハラを受けていて仕事に行くのがキツいなぁ。
ドラマや漫画の影響で「料理人=パワハラ」のイメージを持っている人も多いでしょう。
料理人の業界は、先輩や料理長が絶対的な立場にいるため、部下や後輩は指示に逆らえない環境です。
なかには立場を利用して、パワハラをする先輩料理人もいるので、一生懸命に仕事をしている見習い料理人を潰してしまうことがあります。
夢や目標を持ってる見習い料理人が、パワハラ被害で潰れてしまってはもったいないです。
この記事では、料理人のパワハラが起こる理由と、被害にあったときの対処方法を紹介します。
すでにパワハラ被害にあっている料理人はもちろん、これから料理人として働く人も知っておくことで、適切な対応ができるようになります。
料理人がパワハラをする3つの理由
- ストレスを発散するため。
- 正しい伝え方がわからない。
- パワハラが当然だと思っている。
料理人がパワハラをする理由を3つ紹介します。
パワハラをしている料理人は、このいずれかに該当するでしょう。
料理人がパワハラをする理由① ストレス発散
- 先輩からの厳しい指示。
- 時間に追われる仕込み。
- プライベートを犠牲にしている感覚。
ストレスを抱えがちな料理人は、発散するためにパワハラをしてしまうことがあります。
なぜなら、仕事やプライベートのストレスが溜まると、精神的な余裕がなくなるからです。
八つ当たりのように、立場が弱い後輩や見習い料理人にパワハラをしてしまいます。
もちろん、八つ当たりでパワハラをしても根本的な問題は解決できないので、許されることではありません。
料理人がパワハラをする理由② 伝え方がわからない
料理人がパワハラをする理由は、後輩たちへ正しい伝え方がわからないからです。
従来の料理人は「先輩の仕事を見て盗む」が当たり前だったので、教える立場である先輩料理人も、正しい伝え方で教わったことがありません。
自身が教わっていないことを、後輩に伝えるのは難しいです。
また、口下手な料理人が多く、言葉でしっかりと説明ができないため、暴言や暴力が出るということもあります。
指導力が低い先輩料理人が多いので、パワハラが起きやすいです。
料理人がパワハラをする理由③ 当然だと思っている
料理人がパワハラをするおもな理由は、パワハラをするのが当然だと思っているからです。
いまの飲食業界を仕切っている世代の料理人は、見習い時代に当たり前のようにパワハラ指導を受けてきました。
自身がパワハラを受けながら成長したからこそ、若い料理人にはパワハラをしても当然だと考えているのです。
なかには無意識のうちにパワハラをしている先輩料理人もいるので注意しましょう。
料理人のパワハラ被害の現状とは?
- 料理人のパワハラの典型的な例
- 全国的なパワハラの現状とは?
- ほとんどの料理人がパワハラ被害の経験あり
料理人のパワハラ被害がどんな様子か気になりますよね。
実際に起きたパワハラ被害を紹介します。
料理人のパワハラの典型的な例
- 暴行・傷害(身体的な攻撃)
- 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
厚生労働省が発表したパワーハラスメントの典型例は上記の通りです。
どれも見習い料理人が被害にあう可能性が高いので、気をつけてください。
全国的なパワハラの現状とは?
全職業を対象にした厚生労働省の調査によると、過去3年間にパワハラを受けたと回答している労働者の割合は32%とかなり多いです。
他にも「ミドルの転職」の調査によると、35歳以上の80%以上が、過去にパワハラ被害を受けたことがあると回答しています。
このような実態調査から、昭和〜平成後半の社会では、どの業界でもパワハラがあったことがわかります。
令和になった現在は、パワハラ被害の件数は減っていますが、まだ完全にはなくなっていません。
古い業務体制の飲食店なら、まだまだパワハラが残っています。
ほとんどの料理人がパワハラ被害の経験あり
ほとんどの料理人はパワハラ被害を受けた経験があります。
なぜなら、昭和〜平成後半の飲食店では、指導と称してパワハラをするのが当たり前だったから。
もちろん当時は「パワハラ」という言葉がなかったので、パワハラを受けたと自覚していない料理人も多いでしょう。
しかし、受けてきた指導の様子を聞くと、すぐにパワハラだとわかる内容ばかりです。
見習い料理人が受けたパワハラの実例
- 人間性の否定
- 身体的な暴力
- 精神的な苦痛
見習い料理人が受けたパワハラ被害の実例を紹介します。
実際に起きたことなので、ぜひ参考にしてみてください。
料理人のパワハラ被害① 人間性の否定
東京のイタリアンレストランで働く料理人Aさんは、先輩料理人から「お前はダメだ」「辞めちまえ」と毎日罵声を浴びせられていました。
同僚やホールスタッフにも聞こえるほどの大声で人間性を否定されたので、ストレスで自信を失い、料理人を辞めてしまいました。
大声で人間性を否定されるというパワハラ被害は多いです。
指導する側は罵声を浴びせるのではなく、しっかりと言葉と姿で指導をしてください。
料理人のパワハラ被害② 身体的な暴力
神奈川県のホテルで修行している見習い料理人のBさんは、疲労のあまり片足立ちで洗い物をしていました。
すると後ろから、「仕事中に気を抜くな!」と先輩料理人に蹴られてしまい、太ももを打撲しました。
また、野菜を切っているときに「お前のは厚いんだよ!!」と包丁のミネで手を叩かれました。
包丁を持っているときに叩けれることで、大怪我する可能性があるので危険です。
どちらも仕事中に気が抜けたことと、技術不足が原因で起きたパワハラ被害です。
とはいえ、指導する先輩料理人の行為は許されるものではありません。
しっかりと言葉をかけながら指導しましょう。
料理人のパワハラ被害③ 精神的な苦痛
神奈川県のホテルで働いていたときに、休日に自宅で休んでいると親方から「なに休んでんだよ〜」と電話が来ました。
週に2日あった休みのうち、1日は出勤するのが当たり前になっていました。今では考えられませんが、もちろん無給です。
飲食店ではありがちな、休日のサービス出勤です。
ひと昔前の話だと思われがちですが、いまだにこの体制の飲食店は残っています。
料理人がパワハラを受けたときの対処方法とは?
- 厨房外の管理者に相談する。
- 会社外の相談窓口を利用する。
- 限界になる前に転職先を探す。
いまだにパワハラを受ける料理人は多いですが、実際に被害にあったときの対処方法を紹介します。
正しい対処方法を知っておくことで、いざという時にひとりで悩む必要がなくなります。
厨房外の管理職に相談
働いている飲食店がホテルなどの大規模の場合は、厨房の外にある管理職や総務部へ相談しましょう。
なぜなら、厨房内の先輩や料理長に相談しても、問題を大きくさせないために、会社へ報告されずに取り消される可能性があるから。
厨房外の管理職や総務部なら、会社の問題として向き合ってくれるため、厨房で働く料理人への指導ができます。
会社からの指導なら、パワハラを改善しなければ加害者の立場が危うくなるので効果的です。
「チクるようで気が乗らない」という人もいるかも知れませんが、あなたの料理人としての将来を守るためにも相談しましょう。
会社外の相談窓口を利用
「会社内への相談がどうしてもできない」「仕返しされるのが怖い」というパワハラ被害者は、社外の相談窓口を利用してください。
社外への相談なので、客観的な視点からあなたを守ってくれます。
なかでも、厚生労働省の労働相談窓口は、国が設けている窓口なので安心です。
全国の労働基準監督署内などに設置しているため、電話だけでなく、実際に会って相談することもできます。
限界になる前に転職先を探す
パワハラ被害を受けていながらも、どこにも相談しにくいという人は、限界になる前に転職先を探すべきです。
なぜなら、転職が成功したら今のパワハラ先輩料理人と離れることができるから。
料理人として効率よく成長するためにも、別の飲食店へ転職したほうが良いです。
料理人がパワハラ被害にあったらすぐに対処しよう
- 被害件数は減っているがいまだに残っている。
- 指導者のスキル不足がパワハラにつながる。
- パワハラ被害にあったら相談or転職でOK。
この記事では、料理人のパワハラの理由と、被害にあったときの対処方法を紹介しました。
ひと昔前と比較するとパワハラの被害件数は減っていますが、いまだに古い業務形態の飲食店では残っているので、まだまだ注意が必要です。
万が一パワハラ被害にあったときも、正しい対処方法を知っていればダメージを最小限に抑えることができます。
また、パワハラは加害者に非があるのは明白ですが、なかには被害者側が過剰反応している場合もあるので、客観的に判断することが重要です。
被害者が過剰に反応しているだけなら、別の飲食店に転職したとしても、同様の悩みを抱えてしまうので、本人が自覚する必要があります。
パワハラ問題は、加害者も被害者も客観的な視点で見直していきましょう。